湯川カナ、自由人博覧会を語る。

たとえば、山に登りたいと思ったとする。
(なぜなら、ふと見上げたそこに、山があったから)
とても素敵そうだ。 でもどうやっていいかわからない。

家に帰って、父と母に聞いてみる。
「そんなバカなこと行ってないで、将来に役立つ勉強をしなさい。」
翌朝学校にいって、先生に聞いてみる。
「山の標高を知りたい?気候?学名?え、行き方。その前に、山の知識をじゅうぶんに学びなさい」
いろんな大人に聞く、いろんな言葉が返ってくる。
「どうやって食べていくんだ?山のことなんか忘れた方がいい」
「たまに目指す人はいるけど、帰ってきた人はいないらしいね」
「俺も昔は考えたよ、誰でも一度はかかる熱病みたいなものさ」
「山?ああ、見える時期もあるんだっけね。社会に出たら忙しいから。人の役にたつというのは大変なんだぜ」

違う、山はある。 そして僕はそこに行きたい。なぜだかわからないけど。

ある日、スーツを着た賢そうなひとがやってきてこう言った。
「さすが、坊ちゃんは見込みがある。山のことだね。見える人にしか見えないんだ。連れて行ってあげよう。言う通りにしたらいい。お金がない?お恵みをもらいなさい。クラファンという仕組みがある。君は純粋な心で『行きたい!』と言ってさえいればいい、あとは私に任せなさい」

とってもいい人に出会った!僕はがんばって、いろんなひとに頭を下げて、お金をもらって、彼に渡した。彼はうなずくと、「登山口」というところへ僕を連れて行ってくれた。そこは登山する人のためのグッズや保険を売る、あらゆるお店も揃っていた。ワクワクしながら、必要なものをぜんぶ揃えて、僕は登山口を潜った。

その先に、山はなかった。
少なくとも、僕が胸を焦がした、あの山はなかった。 お金もなくなった。信用もなくなった。

町へ帰るとみんなは「ウソつき」と石を投げるだろう。
家に帰るとみんなが「ほら、だからやめとけって言ったのに」と憐みの目で見るだろう。
僕はこれから誇りもなくして、生きていかなければならない……のだろうか?

町にも帰れず、家にも入れず、どこでもないところでうずくまっていると、おかしなひとが目の前に現れた。
「あの、」なぜ声をかけたかわからない。
「山なんて、ないんですよね」
その人は笑った。 「あ、見えてるのね。行きたいの?行く?私しょっちゅう行ってるから、一緒いこか?あ、ただ、楽じゃないよ。君がつくるのは君だけの道だから。それでも来たかったら、おいで」

僕は足にぐっと力を入れて立ち上がった。楽しそうに先を行く旅人の後姿が見える。
そっか、いままで聞く人を間違っていたんだ。
山に行きたいなら、山に行ったことがある人に、話をきくしかない。

私たちは、きっと、もっと自由に生きられる。
だけど、「諦めずに、道を切り拓きながら生きている人」って、なかなか会うことがない。
だから、探してきました。 ある世界の「常識」から自由に羽ばたき、たくさん誤解されたり批判されたり利用されたりもしながら、諦めずに、より本質を求めて、自分だけの道を切り拓きながら生きている、自由人。

ぜひ、触れてください。山は、ある。焦がれた人には見えている。やっているひとから、秘訣を聞きな。


 

▼自由人博覧会、どんなイベント?

私は、「人間はもっと自由に幸せに生きることができる」と信じています。
そして、もっとたくさんのひとに、「自分はもっと自由に幸せに生きることができる」と信じてほしいと願っています。
そこで、私が「自由に幸せに生きる」を体現されていると思い、また圧倒的に憧れる博物館級(!?)のひとたちにゲストとしてお招きし、その言葉や生きざまに触れていただくことで、参加者さんたちが「自分が自由に生きること」にワクワクするような機会を作らせていただこうと思いました。

 

▼ 2020年上半期ゲストリスト(全5回)

第1回:6月27日(土) 田中元子氏(グランドレベル代表)
「場づくり、からの自由」

終了しました。 イベントレビューはこちら:https://lgaku.com/2020/09/16/jiyuujin-review-01/

第2回:7月4日(土) 佐伯夕利子氏(サッカー監督/スペイン1部リーグビジャレアルCF所属、Jリーグ理事)
「教える、からの自由」

終了しました。イベントレビューはこちら:https://lgaku.com/2020/09/16/jiyuujin-review-02/

第3回:8月8日(土) 出口治明氏(APU立命館アジア太平洋大学学長)
「知識、からの自由」

終了しました。イベントレビューはこちら:https://lgaku.com/2020/09/16/jiyuujin-review-03/

第4回:9月12日(土) 堀口正裕氏(TURNSプロデューサー)
「ローカル、からの自由」

終了しました。イベントレビューはこちら:https://lgaku.com/2020/09/16/jiyuujin-review-04/

第5回:10月24日(土) 関治之氏(コード・フォー・ジャパン代表)
「IT、からの自由」

詳細はこちらのページから→ http://lgaku.com/2020/09/17/jiyujin20201024/


▼湯川カナが、自由人博覧会に込めた思い

空を飛ぶって、どんなかんじなのだろう。
気持ちいい?怖い?どうやって初めて浮いたの?……やったひとに聞くしかない。
自由に生きるって、どんなかんじなのだろう。不安はなかった?いま楽しい?コツは?……やっぱり、やってるひとに聞くしかないよね。

スペイン語の「自由(libertad)」は、「解放された状態」という意味。素敵なひとは、何かから解放されて、すごく空高く翔けているように見える。いったい、何から解放されているのだろう?すごく話を聞いてみたい。だって私が、もっと自由に生きたいから。
ひとそれぞれ、湯川が圧倒的に憧れる博物館級(!?)のひとたちにお話を伺う。せっかくだから、その「生」そのものに、たくさんのひとに接してもらう。 それが、リベルタ学舎の”看板イベント”と位置づけている、「自由人博覧会」です。

■紹介:湯川カナとは
個人の尊厳、幸福の追求、それを支え合う公共の実現…自分がより幸せに生きるために実験を続ける。学びの場「一般社団法人リベルタ学舎」&参加者が仕事として実現する「なりわいカンパニー株式会社」を運営。執筆業と、兵庫県広報官も。ちなみにシングルマザー。
<プロフィール> 1973年、長崎出身。早稲田大学在学中、学生起業に参加。Yahoo! JAPAN創設メンバーに。2年後、数億円分のストックオプション権を返上し、スペインへ移住。10年間フリーライターとして活動。帰国後、神戸に移住。女性や若者の社会参画実現に向けて活動中。

(参考情報) <本> 『「他力資本主義」宣言ー脱・自己責任と連帯で、これからを生きていく』(徳間書店/内田樹氏との対談つき)/<プレゼンテーション> 『弱みを軸にした、強固なチーム作り』(TEDxKobe)/<インタビュー> 『勝たなくても、幸せになる方法』(NewsPicks)

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