• HOME
  • イベント , イベント案内
  • 【終了しました】《2020年9月12日》「ローカル」からの自由。/自由人博覧会 堀口正裕さん(TURNSプロデューサー、武道家)

【終了しました】《2020年9月12日》「ローカル」からの自由。/自由人博覧会 堀口正裕さん(TURNSプロデューサー、武道家)

 

■ゲスト:堀口 正裕(ほりぐち まさひろ)(TURNSプロデューサー、株式会社第一プログレス常務取締役、武道家)
1971年生まれ。高校時代から、師範であった父のもとで合気道を始める。早稲田大学卒業後、メーカーに勤務。父の死を機に第一プログレスに転職、雑誌づくりに関わる。東日本大震災をきっかけに、暮らしや社会を見つめ直す地方移住総合情報誌「TURNS」創刊。総務省、国土交通省、農林水産省など数々の省庁に有識者として招かれる。現在、埼玉県狭山市で、父から受け継いだ合気道道場で、双子の兄とともに指導にあたる。また合気道創始者・植芝盛平の言葉として知られる「武農一如」の実践として、週末は家族で農作業を楽しむ。四児の父。座右の銘は「夢なき者に理想なし」から始まる吉田松陰の言葉。

 


  たぶん、私たちは、インターネットを、信じているのだ。

【もうひとつの”正業”は、合気道の指導者】

いま日本の「ローカル」や「まちおこし」で引っ張りだこ。”これからの地域とのつながりかた”をテーマにする雑誌TURNSプロデューサーにして、地方創生関係でいくつもの中央省庁で有識者委員をつとめる、堀口正裕さん。

彼には複業、もとい、もうひとつの「正業」がある。合気道の先生だ。兄とともに父親から受け継いだ狭山市の道場で、毎週、少年部から青年部まで70名ほどを指導している。市の教室でも指導。武道家になるというのは、実は、高校時代からのいちばんの夢だった。

堀口少年は北海道に生まれ、父親の転勤に伴って宮城県を経て、埼玉県狭山市へ移り住んだ。いまは、氏を知っているひとはみな「あんなに誠実なひとはいない」と声を揃える温厚な人格者だけど、高校時代は教師にくってかかる問題児だったそう。

とくに日本史。何度も、テストの裏に、教師による一面的な教え方への批判を書いては、大幅な減点を食らった。それでもやめなかったのは、堀口少年の中に、読書を通じて知り、また武道家の父から語り聞き、合気道を通じて受け継いだ、豊かでいきいきとした日本像があったから。日本が、大好き。



【東日本大震災で、TURNSを創刊】


やがて早稲田大学に進学、メディア論を専攻する。「メディアは客観的ではなく、主観的であれ」と学び、大きな興味を持つも、なんせ夢は武道家。父が指導していた横田基地の米軍兵に全くかなわなかったショックもあり、合気道漬けの学生生活を送る。就職も、「土日休みで合気道ができそうだから」という理由で、メディアではなくメーカー勤務を選んだ。

だが、若くして父が他界。尊敬する人物は、と聞かれると、迷わずその名を口にしていた父だった。堀口青年は、父の跡を継いで合気道道場主となると同時に、人生を考え直す。やはり、メディアをつくりたい。日本を、伝えたい。その思いに応えたのが、当時社員8名の広告代理店・第一プログレスだった(現・常務取締役)。

「ぜひやってみてください。ただ、メディアをつくるには一般的に2,000万円ほどかかる。まずはその分の利益を自分で生み出すのが条件です」堀口さんはがむしゃらに営業に邁進。期待に応え、同社から「豊かな暮らし方、本物のライフスタイル」をテーマとする育児雑誌「tocotoco」、スタイルのある家を手に入れる情報誌「LIVES」等の創刊を実現していった。

そこに起こったのが、東日本大震災。水道橋のオフィスにいた堀口さんは、都市の脆弱さを痛感する。「第二の人生」といわず、若い人たちにこそ、暮らしや社会を見つめ直す機会としての地方移住情報を提供する必要があるのではないか? それが、雑誌「TURNS」の始まりだった。おりしも2014年、政府から地方創生の大号令がかかる——。



【地域づくりの前に、自分づくり】

「ただ、それで、実際にはひどい話もいっぱい見聞きしていまして」 誠実な堀口さんが、顔を歪める。
「誰でもいいから若者に移住してほしい」という理念なき地方と、
「どこでもいいから地方に行きたい」という都会で夢破れた若者との、表面的なマッチング。
すぐに訪れる破綻。そして双方に残る疲弊と不信感。

おそらく日本でいちばん、誰よりも多く、そんな光景を見てきた堀口さんは、無責任に地方移住を勧めたりしない。
移住希望者にも、移住者を受け容れる側の地方にも、相応の覚悟を求める。
移住希望者にしばしば感じるのは、地域への敬意の不足。
排他的か否かの前に、それぞれの地域には、それぞれ脈々とそこまで受け継いできたものがある。
もしもそれを敬う気持ちがないなら、絶対にそこに行くべきではない。

「移住希望者から『地域を変える』ってよく聞くんです。でも果たして地域はそれを望んでいるのか?もしそうじゃないなら、これってすごく失礼な話ですよね」

そしてもうひとつ、「地方ならなんとかなる」という甘え。
だが、都会で成功体験を積んでいないひとが、いきなり地方で成功するわけがない。
同様に、お金を稼ぐということに敬意が足りないことも散見される。
助成金や補助金頼りも多いが、それは地方のみなさんの税金。まずは自分でちゃんと自立し、家族も養うのは、地方移住に限らず当然の前提……のはずなのに、なぜか「地方でなら、なんとかなる」と思っているひとも少なくない。

「地域づくりの前に、自分づくり。ですよね?」


【地方移住バブルの今だからこそ考える、”アフターコロナ”】

受け容れる地方もまた、まっとうなものをまっとうに評価することが苦手すぎる場合も多いかもしれない。
地方創生や移住ブームに乗せられて、都会の代理店に多額の税金を使ってしまい、地に足のついた施策をしそびれていないか? そもそも、地域の人が幸せでないところで、移住者が幸せに過ごせるはずがない。

移住促進に成功している自治体は、どこもホスピタリティがしっかりしている。
それはつまり、移住者への敬意だ。
相手にはちゃんと条件を伝え、受け容れる準備を整えるべきであり、「若者なら誰でも」と謳いながら無策のところは、やはりうまくいかない。

地域づくりは、信頼関係づくり。
そんな当たり前のことが見えづらくなっているのは、時代背景のせいもあるのかもしれない。
堀口さんは、この”コロナ”の今、東日本大震災直後以来の『地方移住バブル』が起きていると感じているそう。
堀口さんが憂慮するのは、あの時に嫌というほど見た、「ひどい話」が繰り返されないようにということ。

「『いまがチャンスですね』と多くの方に言われるんですが、何言ってるんですか、冗談じゃない、と。
これからは場所の制約がなくなり、みんな、ごまかしが効かなくなってきます。
『地方だから』という枕詞が通用しなくなってくる。すべて『自分だから』になるんです。
『できなかった』も、もちろん『できる』も」

そんな、情熱的な思いをもつ冷静な批評家でもあり、田舎で武道場と畑を営みながら都会で働く実践者でもあり、なにより日本という土地とここに暮らす人たちのことが大大大好きな堀口さんに、自由人博覧会で、聞いてみたいと思います。

これからの日本で、「生きる」と「地域(ローカル)」は、どう関わっていくのでしょうか?


▼ホスト・湯川カナが語る、堀口正裕さん。そして、博覧会のこと。



■ホスト:湯川カナ(ゆかわ・かな)(一般社団法人リベルタ学舎代表、なりわいカンパニー株式会社代表、兵庫県広報官)
早稲田大学在学中、孫泰蔵氏(現シリアルアントレプレナー)の学生起業に参加した縁で、Yahoo! JAPAN創設メンバーとなる。数億円分のストックオプション権を返上し、言葉もわからないスペインへ移住。10年間、「ほぼ日刊イトイ新聞」をはじめフリーライターとして活動する。帰国後は、縁もゆかりもない神戸で、女性や若者の社会参画を推進する学びの場「リベルタ学舎」を設立。地元企業や行政との連携も手がける。2020年5月、地域の事業づくりコミュニティ「なりわいカンパニー」設立。2018年4月より兵庫県広報官。「自分の幸せを実現しながら、みんなの幸せも実現する」新しい個と公共の在り方を考え、実践し続ける。著書4冊。

 


  ▼自由人博覧会、どんなイベント?

スペイン語の「自由(libertad)」は、「解放された状態」という意味。
素敵なひとは、何かから解放されて、すごく空高く翔けているように見える。

いったい、何から解放されているのだろう? すごく話を聞いてみたい。だって私が、もっと自由に生きたいから。 それぞれ、湯川が圧倒的に憧れる博物館級(!?)のひとたちにお話を伺う。 せっかくだから、その「生」そのものに、たくさんのひとに接してもらう。 それが、リベルタ学舎の「自由人博覧会」です。

自由人博覧会について、もっと詳しく知りたい方はこちら:湯川カナ、自由人博覧会を語る。
 
 
▼開催概要
 
<日時>

2020年9月12日(土) 15:00~17:00 (※おやつタイムにつき、お酒やお茶などを楽しみながらやりましょう)
<参加費> 1,650円(税込み)
<お申し込み>
終了しました。

■お問い合わせ: 一般社団法人リベルタ学舎 info@lgaku.com/ 078-599-9381      

関連記事一覧