たぶん何かとダンスした。ーロゴができるまで

湯川カナ

湯川カナ

代表・事業プロデューサー

■ ロゴの語源は「ロゴス」らしい。

ロゴスといえば、「はじめにロゴスありき。」という、新約聖書(ヨハネによる福音書)の最初の文章に出てくる。なんかめちゃくちゃ根源っぽい。

ゲーテの作品の主人公ファウストは、ある日、この文の「ロゴス」をドイツ語に訳そうとする。
順番に当てはめてみたことばは4つ、「詞(ことば)」「意(こころ)」「力(ちから)」「業(わざ)」。
…と、新渡戸稲造が『ファウスト伝』で書いているらしい。わかるようでわからない。みんな死んじゃってるし。

■ 「ヨモギとアブラムシ」って。

ともかく、2024年6月の夏至の日に誕生したNPO法人リベルタ学舎は、ロゴをつくろうと思った。
7月、ウェブをつくってくれているもりさきさんが、デザイナーのほそかわさんを連れてきた。デザイナーのほそかわさんは、新人のはやしさんを連れてきた。はやしさんは、こういう現場は初めてという。
それから何度も、ほそかわさん・はやしさん・メンバー全員で、ヒアリングというより会話を重ねた。

リベルタ学舎の色のイメージをきかれたときは、みんな口々に、でも「赤」とか「原色」と答えている。
「リベルタとは?」ときかれて、「解放」「プロセス」「人間化」「自分ができないって思っているだけ」。
「何をやっている?」ときかれて、「リベラルアーツ」「ヨモギとアブラムシ」「世界の中心はどこ?と聞かれて”あなた”と答え続ける」「コメはつくる」「ヤドリギ」「変わり続ける」。
ほそかわさんは力なく笑い、はやしさんの表情はどんどん失われていった。

■ でもふたりは、諦めていなかった。

2か月後、記録的な猛暑が続く9月の某夜。
はやしさんは、手にインクを塗って、白い紙にペタペタしてみた。
その一枚がほそかわさんに「作為的」と言われたので、あとは手と足にインクを塗りたくり、ボスが帰った後も、無になるまで、紙の上でのたうちまわった。

そのうち、たぶん何かとダンスした。
無我夢中で行為を終えたあと、「あ、これが解放されるってことか」と感じたという。
話を聴いた私たちみんなが、「あ、リベルタしたんだね!」と、うれしくて笑った。

そんな「はやしさんがリベルタした」ロゴです。
ウソがないプロセス、日常からの解放、固有の命が世界の真ん中にいること、変化を続ける運動体…いろんなリベルタ学舎が、そこには詰まっていると思いました。
いま・ここで生きている私たちの、「ことば」や「こころ」や「ちから」や「わざ」です。